「がたんごとん」の裏側

1日目 → 2日目

 これはKCSアドベントカレンダー2022の記事です

BastelColorです。この記事では作ったモデルについての説明や制作の裏側などを書いていきます。

 まずは各モデルについての説明を各制作者から頂いたのでそのまま掲載したいと思います。

 

モデル説明/解説

 

1両目 通常車両E233 [BastelColor]

 言わずと知れたE233系です。主に埼京線の写真と図面を元に作成しました。このモデルが全員のモデルのベースとなるのでかなり力を入れて作ってあります。特に、レンダリングの関係からポリゴン数やマテリアル数を極限まで下げてある他、テクスチャをノードから作成するといった工夫もしました。

 動画化するにあたっては、「動いている」と錯覚するようにカメラを上下に動かしたりつり革を動かしたりしていますが、車両自体は一切動かしていません。これによって、KCSちゃんの配置後もスムーズに変更が可能となりました。ちなみに、一番最初の駅は大昔に作ったモデルの名残です。

 

2両目 GLITCH_main [BastelColor]

 特に目立った3Dモデルの改変は行いませんでした。その代わり、動画のカット割と音で演出をしています。当初はこのワイヤーフレーム部分を動かすというかなり大掛かりなことをしていましたが、特に目立つ演出でもないわりに動作が重たすぎるので却下となりました。その代わりに足されたのが奥のグリッチウォールです。これを足したことによって「夢の入り口」というコンセプトが確定したので、ワールド自体も環境テクスチャではなく太陽とボロノイを足したものになりました。

 

3両目 カジノ [melt]

 ビリヤードやダーツ、ポーカーなどが楽しめる車両。壁にかけられた、フランスのデザイナーであるロートレックのポスターが来訪者を華やかな遊興空間へと誘っています。

 

4両目 美術館 [ヒュリー]

 芸術の秋(に制作した)ということで美術館の車両です。窓を展示スペースに見立て、様々な作品を展示しています。絵画作品にAIの画像生成を用いることで、様々な画風の絵を用意することができました。また、要所要所に赤や青などのビビットなカラーを使用することで、車両の雰囲気を引き締めています。

 

5両目 自然/花 [melt]

 Oculus Rift/RiftSで使えるQuillというVRお絵かきソフトで制作した植物とそのアニメーションをblenderにインポートしました。車窓から差し込む木漏れ日が、時代に忘れられた車両の郷愁を一層引き立たせています。

 

6両目 触手 [イッカク]

 不快蠢く触手車両、気持ちが悪い、作者の品性を疑う。健全で平和な車両とのギャップで頭痛を起こすが、禍福は糾える縄の如しなので仕方がない、無茶振りに付き合ってくれたKCSちゃんに感謝する。タコ足のモーションの有機感を演出するのにはとても苦労したが、納得のいくものが作れたと思う。細い触手の動きは、ボーンではなくジオメトリノードで処理されている。

 

7両目 和風 [ヒュリー]

 提灯、赤い照明、障子、行燈などが設置されたアジア風の車両です。和風と中華風が入り混じったアジアンな雰囲気が出せたのではないかと思います。人の美しさを引き立てるとされる間接照明でKCSちゃんをより美しく見せています。

 

 

8両目  妖怪  [イッカク]

 妖怪がひしめくおどろおどろしい車両。キュートでお茶目な唐傘お化け、さまよえる魂、百目百ヶ目くぬりかべ、ぬらりと登場一反木綿、デカァァァァァいッ説明不要!!ながしゃどくろ、戦々恐々とした車内でKCSちゃんが見たものとは。

 

9両目 サイバーパンク [わや]

 治安がよくなさそうな車両。 今までモノ1コをモデリングしたことはあっても空間を作るのは初めてだったのでどうしようか悩んだ末、天井を大小のパイプで張り巡らせる暴挙に出た。

(締め切りさえなければ)もうちょっと小物を足して雑多な感じにしたかったなぁ…

CyberPunk2077、PS5・steamその他プラットフォームにて好評発売中

 

10両目 宇宙 [わや]

 宇宙ぽいやつを、と思って作った車両

小物とかは登場させずに天球儀1つでなんとかしようと思った結果、個人的にはサイバーパンク車両よりも完成度が高まってしまった悲しき作品。

歯車が広がっていくエフェクトはワートリの星の杖をイメージして作ったのでワートリはいいぞ

ドアと窓枠と天井は雰囲気づくりの犠牲になりました。

 

 

動画化の裏側

 今回の動画化は全て私が行いました。AfterEffectsを用いましたが、効果音などを追加するだけならAviUtlを用いても十分な効果が期待できると思います。以下に今回の元データにAviUtlでの編集を施した動画を置いておきます。

 今回一番の敵となったのはBlenderについている「デノイズ」機能です。動画にするとちらつきがどうしても気になるようになります。これに加え、レンダリング時間がどうしても取れなかったため1/2フレームで書き出したのちFlowframesでフレーム補間を行うという方式をいくつかの車両で取り入れさせてもらいました。三田祭当日に会場で公開されている動画はかなり多くの車両に残っていましたが、Youtube公開版では多少抑えるようにはしてあります。

 次に格闘したのはKCSちゃんのモーションデータ関連です。今回のモーションは全てスタジオを借りてモーションキャプチャーを行ったものになっています。ただ、メンバーがほぼ全員初回だったことに加え必要なモーションの練り合わせなども若干ゆるかったためモーション自体の質が悪くて量(種類)も少ないといった事態になってしまってました。

崩壊するKCSちゃんの右腕

これのスムージング処理や回転補正なんかを丸半日使って作業しました。ただそれでも使えると判断したものはごく少数になってしまったため、同じモーションの使いまわしが多発しています。分かる人にはわかるかもしれませんが、そこらへんはカメラワークでごまかしてるのでそう簡単には分かりませんよ。ちなみにモーションキャプチャーの元データをKCSちゃんに落とし込む作業自体はイッカクくんが全部やってくれました、Autorigいいらしいですね。

 裏側というと、「あの3Dモデルのアニメーションって外から見るとどうなってるんだ」とかそういうのを期待すると思うのでそれも載せておきます。

妖怪車両 ビューレンダー

 これは8両目の妖怪車両の外側です。基本的には渡されたモーションデータをKCSちゃんの3Dモデルに当てはめて、それをいい感じのタイミングでいい感じに差し込むだけなのですが、どうしてもアニメーションの切り替えがうまく行かなかったので実は車両の下にKCSちゃんが複数体存在しています。必要になったら下から引っ張り出して、用が無くなったらまた下に落とすというだけなのでかなり楽です。

 

没案

 あとは没案なんかを理由と一緒に載せておきます。最初に言っておくと、各自で考えた電車のコンセプトも直前になって変わったものもあります。没というよりかは気が変わっただけかもしれませんが。

没その1、GLITCH車両  理由:動作が重すぎた&目に悪い

 先ほどの説明にも書いた通り全部ブーリアンで動かしています。動作は尋常じゃないほど重く、1フレームあたり1分くらいの読み込み時間が発生します。今回の動画は1車両あたり500~700フレームのアニメーションを付けているのでこれだと三田祭本番までにレンダリングが間に合わないだろうということで却下にしました。ついでにチカチカも目に悪いので消してあります。

没その2、植物車両 理由:暗すぎ

 没その3 理由:明るすぎ&人工感が気に入らない

 この植物車両はライティングを任されたのでいくつか案をだしたのですが、自分でもちょっと気に入らなかったので没です。最終的には上のやつのライティングを工夫して、空気中にちりを舞わせたものをつかいました。比較で下に完成版置きます。

こうしてみるとやっぱ光の筋っていいですよね。

 

没その4、妖怪車両 理由:天井黒すぎ外明るすぎお札おかしい

 これは進捗チャンネルにあった没案です。視覚的にわかりにくいという判断でしたが、同じくイッカクくんが作っていた触手車両と色合いも被ってたのでこれはナイス判断だと思います。

 

 

最後に

 今回の企画を行うにあたって、全員〆切を守ってくれたのは非常に助かりました、お疲れさまでした。他の班やサークル外の人からもかなり好評なようで結構うれしいです。また、レンダリング作業にあたってGoogleColaboratory先輩にはかなり頑張ってもらいました、ありがと

 この企画は私含め5人で行いましたが、CG班のロールが付いている人数に比べるとかなり少ないです。今後の目標としては、今のCG班メンバーで作業は行いつつ他のメンバーを取り入れるために講習会なんかが行えたらいいかと思います。

 最後に、完走した感想ですが

 

レンダリング作業は1週間前からやろう!(1敗)

 

 

おわり

Posted on: 2022年12月1日, by : BastelColor
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