実際にサントラを作曲してみた
これはKCS AdventCalendar2020 7日目の記事です。
どーも、まんたあにど です。
この日の担当が長い間不在だったので、急遽勝手ながら遠慮なく書かせてもらいます。(アドベントカレンダーの火を絶やすな。)
2日目に耳コピやら楽譜写経やらの話をしましたが、今回はこれらで得た見聞を取り入れながら実際に作曲していくまでの流れについてDTM初心者なりに話していきます。
一、方向性を決める。
どんな感じの曲を作りたいか決めます。僕は普段からゲームのBGMとしての利用を念頭に置いたサントラを作曲しているので、今回作っていく曲もそれにします。方向性は、深夜の2時間DTMで出されたお題「文化・伝統をイメージした曲」に沿って行きます。
二、イメージを膨らます
ジャンルや方向性が決まれば、それに近い曲や画像をとにかく漁り、イメージを膨らませていきます。様々な曲を聞いて、「ここすき」な部分や自分も使ってみたい技を集めていきましょう。今回は事前に耳コピした曲や調べたものがあるため、それらをメインにケルトっぽさが残る曲を目指して作曲していきます。調やBPMもこの段階でおおよそ決めてしまいます。
三、メロディーを決める
リズムから作っていくか、コード進行から決めていくか、とにかく曲のどの部分を最初に作るかは人それぞれだと思います。アイデアや技量次第ですが、僕は最近ではメロディーから最初に作りだし、次にコード進行、バス、対旋律、リズムの順で作っていくことが多いです。(本当にアイデアや技量次第なので厳密にこの順番に作るというわけではないです。以前はリズムをバスや対旋律よりも先に作っていました。)今回はメロディーから作っていきます。
そもそもメロディー自体、ふと湧いてきて出来上がる側面もありますが、ある程度はテクニックみたいなものがあります。時間に制約があって無理やりにでも作らなければならない時はこれと己の感性に頼ります。例えば、短い音をずっと続かせてスピード感を出させたり、逆に長い音をずっと続かせてゆったりした感じを出させたり、長短をつけさせてメリハリを利かせたり、といった感じです。音の高低もサビ部分は高音にして盛り上げたり、高低差を激しくつけて不気味な感じにしたり…
たくさんあるので調べておいてください。(丸投げ)
ちなみに深夜の2時間DTMをリアルタイムでやっていた時には、この曲に関してはこの段階とリズム一部、コード進行一部で2時間経っていました。時間かかりすぎ。
#深夜の2時間DTM
お題「文化or伝統をイメージした曲」伝統音楽ということもあり、予てから練習していたケルト風音楽にもう一度トライした結果、未完のまま2時間を迎えてました
とりあえず時間通りのものを投稿し、後で再考します(伝統芸能)。2時間、難しい…https://t.co/QUSQEEWhZN
— まんたあにど (@anidomanta) November 3, 2020
四、コード進行を決める
カデンツや強進行、弱進行といった知識やメロディーとの兼ね合い、曲の流れを考慮してコード進行を決めていきます。知識はあると便利ですし外れもしないですが、最終的に曲を円滑に流すことが目標なので、ガチガチに知識にこだわる必要もないと思います。最低限、狙っていない不協和音を作らないように気を付けて決めましょう。また、他の曲から好きなコード進行を持ってくるのも手です。今回は耳コピした『なかよし!〇!なかよし!』で使われていた(アレンジされていた?)コード進行(Ⅳ-Ⅶ-Ⅴ-Ⅰ)をサビ部分に一部持ってきています。コード進行を演奏する楽器もただ和音を奏でるだけでなく、メロディーと同様に高低や長短を調節したり音を削ったりして曲の雰囲気に合わせます。自分の場合、うるさいかどうかで決めます。
五、リズムを決める
リズムは表拍、裏拍、決め所、変化をおさえてあげればどうにかなります。あとはその時そのときのノリに任せます。終わり!閉廷!
(完)
……
とはいってもそれだけではまだ拙いので、そこからさらにリズムを加えていきます。僕はリズムをおおよそ2~3つに分けています。1つは上記のようにノリに任せて作ったドラム部隊。1つはドラムではないカスタネットやマラカスといった軽量級部隊。最後の1つはタムやティンパニといった重量級部隊です。軽量級部隊はドラム部隊が演奏できていない部分のリズムを補うように演奏し、重量級部隊はサビ部分などを低音で盛り上げてくれるようなリズムを演奏します。いずれもそれぞれの部隊の動きを念頭に演奏させます。これでリズムはある程度整います。
六、バスを決める
低音部があるのとないのとでは曲の質感がだいぶ変わってきます。バスにはその曲の最低音部を任せましょう。コード進行が高くなれば低くなるように、コード進行の方向と逆行させ、不協和音がやはり生じないように対位法を用いて作っていきます。あとはこれまでに気を付けるべきことと同じ。
七、対旋律を決める
メロディーとの相性を考えていきます。メロディーが長い音を出している時には短い音を、短い音の時には長い音を対旋律で補うように奏でていきます。あとはメロディーで演奏しきれなかったものがあればそれを適宜担当させます。ピアノロールが綺麗だったので趣味で取り入れてみました。ここまできて今更ですが、同じフレーズを1オクターブずらして二つに複製してそれぞれ演奏させると厚みが生まれます。
八、その他
ここまできたら既に曲は完成していると言っても過言ではない状態にまで至っているはずです。それでもまだ足りないと思う部分がいくつかあると思います。例えば本来そこにないはずの音が脳内で聞こえてくるとか、とにかく雰囲気が欲しいとか。その部分を実際に演奏させて補っていきましょう。僕の場合、楽器ではないものを混ぜ込ませることも多いです。今回はシンバルのトリルやシンセ、ハープといった楽器から電話機、波音、Abyssとかいうよくわからない音源といった楽器ではないものも使っています。最終調整もここでします。主にメロディーの音色を加えることもします。
九、ベロシティを調整する
音の強弱をつけて、メリハリをよくします。サビ部分は強めに、Bメロは弱めに、というような簡単な感じでも十分に違ってきます。
十、ミックス、マスタリング、etc…
わからん。逆に教えてほしい。
一応、音の調整程度にイコライザーを1~2dB以内で弱めにかけ、アタックやリリースをコンプレッサーで申し訳ない程度に調整して、後はリダクションを3dBまで目指して適当にリミッターに放り込んでいます。パンはオーケストラの舞台配置を想像しながら役割ごとにバランスよく分けています。マスタリングはしたことがない。誰か教えて。
ようやく曲が完成しました。腰を据えて作曲すると、ここまでで1週間はかかってしまいます。一体何をどうしたら数時間で作れるというんだ…
ここまで来て言うのも無責任ですが、曲の作り方自体、そもそも明確な答えはないと思います。どれをとっても人によると思います。理論で固める人もいれば感覚で作る人もいるでしょう。僕は2割理論、その時の感覚8割で作っています。知識が未熟というのもありますが。この曲もケルト音楽を想定して作り始めましたが、作っているうちに遺跡探索っぽくなってきたので、その方向に変えて作りました。バグパイプなんか同じ音を延々と吹いています。要はそれぐらい作曲は答えのない自由なものなんじゃないかと思っています。だからこそ様々な曲を聞いて、それをうまい具合に参考にして、自分の納得できる曲を目指して試行錯誤していくことが上達の肝だと思います。勿論、知識も取り入れながら。
いい具合に締めの言葉も言えたので、ここまでにします。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
Posted on: 2020年12月10日, by : まんたあにど (T∞T)